【私の伝える道~SNS編】 仏教に関わる多くの人のプラットフォームに

higanji

はじめまして。「インターネット寺院 彼岸寺」というウェブサイトの代表を預かっております日下賢裕(くさかけんゆう)と申します。浄土真宗本願寺派の僧侶で、石川県のお寺の住職も務めております。

さて、この度「私の伝える道~SNS編」についてこちらで書かせていただくということで、「インターネット寺院 彼岸寺」(以下「彼岸寺」)との関わりや、どのような思いを持って活動しているウェブサイトなのかについて書いていきたいと思います。

まず「彼岸寺」ですが、そもそもは私がはじめたウェブサイトではありません。「彼岸寺」の開基は、現在は「未来の住職塾」の塾長であり、「産業僧」として活動している松本紹圭氏です。その松本氏とは、もう20年ほど前、たまたま本願寺派の「伝道院」という教育施設の寮で同室になるご縁があり、それ以来の付き合いとなっています。

当時はちょうど「mixi」という国産SNSが始まった頃。松本氏はこれも当時まだ流行り始める前のblogを始めており、共に寮生活する中で、「インターネットでなにか仏教を発信できたらいいねー」と話をしていました。その後、松本氏のblogをベースに数人の僧侶とともに運営する「彼岸寺」が誕生しました。私もその頃から仏教コラムを書くなど、一人のライターとして参加。松本氏も私も浄土真宗本願寺派の僧侶ですが、さまざまな宗派のお坊さんたちが関わるようにもなり、超宗派の若い僧侶の一つの活動の場として「彼岸寺」は知られるようになっていきます。その後、何度か代表が変わるなどして、長く関わっている私が、現在の代表として「彼岸寺」を預かっている、という形です。

今にして思えば、若手の僧侶、しかも宗派を超えて活動を共にすることであったり、それがインターネットを使って行われるのは画期的でした。また、同時進行的に普及してきたSNSによって、お坊さん同士が有機的に繋がり、お寺での音楽ライブを始めとした様々なイベントも行われるようになるなど、「お寺」の価値や、僧侶の活動が、これまでと違った形で注目されるようになりました。それに伴い、これまで仏教にご縁がなかった世代や人たちにも仏教との接点が増え、「彼岸寺」はそのための一つの窓口のような存在になっていったように思います。

私が「彼岸寺」を預かった頃には、すでに多くのお坊さんが、「そのお坊さんにしかできないこと」を持って活躍をし始めている頃。さらにさまざまに活動するお坊さんと共に仏教を盛り上げていきたいという人たちも増え始めていました。しかし、まだまだ個々の発信力だけでは広く周知することが難しい部分もありました。そこで「彼岸寺」をさまざまな活動をするお坊さんや仏教に関わる人達(「彼岸寺」ではco-buddhistと名付けました)が、自由に自分たちの活動を発信したり、仏教について語ることのできる「プラットフォーム」をコンセプトの一つに設定。そこから、現在のような「寄稿」スタイルでのウェブサイトの運用がはじまりました。

そしてもう一つ、「一つでも多くの仏縁を」ということも、彼岸寺のミッションとして定めました。「仏縁」とは「仏教とのご縁」のこと。これまでの「仏縁」といえば、葬儀や法事といった仏事であったり、あるいは有名なお寺への観光などの形が、おそらくメインだったでしょう。しかし、インターネットの発達や、さまざまに活動するお坊さんが増えてきたことから、仏教に出会うきっかけも多様化していきます。そのような新しい形の「仏縁」が、一つでも多く生まれていくように、そして「彼岸寺」がその出会いのきっかけの場となれば――そのような思いで、現在も活動が続いています。

※「彼岸寺」についてはぜひこちらもお読みください。

現在では、私が「彼岸寺」を預かった頃よりもまた少しフェーズが進んでおり、SNSを中心として個々のお坊さんの発信力が高まってきています。Twitterでバズるお坊さんも登場し、YouTuberとして活動するお坊さん、TikTokを活用するお坊さん。私が「彼岸寺」に関わり始めた頃からは本当に信じられないほど、次々といろんな活動をするお坊さんが登場し、百花繚乱というと言い過ぎかもしれませんが、本当にたくさんのお坊さんが活躍をされています。

そうしてSNSを利用してお坊さんの個々の発信力が高まった分、「彼岸寺」のプラットフォームとしての役割や重要度は、かつてほどは高くなくなりつつあるのかもしれません。しかしこれは決して悲しいことでもなんでもなく、これまで「彼岸寺」が掲げてきた「一つでも多くの仏縁」がより生まれやすい環境が整いつつあると見ることもできるでしょう。

とは言え、まだまだ「彼岸寺」の役割が終わったわけではありません。もうしばらく、仏教に関わる人達のプラットフォームとして、そして一つでも多くの仏縁が生まれる場として、「彼岸寺」を続けていきたいと考えています。

機会があれば、ぜひ皆様にも「彼岸寺」を覗いていただけましたら幸いです。

そして、仏教に関わる皆様、何かある時には、彼岸寺をどうぞご利用くださいませ。
https://higan.net/

日下賢裕


浄土真宗本願寺派 恩栄寺住職
「インターネット寺院 彼岸寺」代表
https://higan.net/



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